普通の最高の人生



9年前の七五三。



何を指差しているんだろう。可愛い。
















29年前。

今日の夜中2時頃、母が死ぬの。


そのときわたしは寝ていて、

まったく気づかなかった。


寝る前、母に声をかけた。

「おやすみ」


でも返事がなくて、どうしたのかな?

と思ったけれど小学6年生だったわたしは

「しつこくするなんて大人気ないよね」

と思ってそのまま寝たのよ。

大人じゃないのにね。

子どもなのにね。


そして朝起きたら死んじゃってた。

 






 
 
 
 

あの頃のわたしは中学受験の直前で、

小学校生活も受験生活も充実していて

とても楽しい時期だった。

母も優しくて、父も優しくて、兄弟も可愛い。

幸せしかなかった。


楽しいと思っていたのに

幸せだと思っていたのに

いいことばかりだったのに


突然すべてが終わるあの蒼白。






たぶんわたしがサプライズ嫌いなのは

そのせい。

先に言っといてほしい。


「突然」は嬉しくない。

予想外の何かは欲しくない。

わたしは普通でいい。

想定内の人生でいい。


安心がいい。安全がいい。

そのために戦うことは厭わない。








と、この時期はしみじみ思う。

11月が好き。










みんなが穏やかに幸せな人生を

生きられたらいいなと思う。

普通の最高の人生を生きられたらいいよね。


わたしはそう思うよ。









須王フローラ