知ってるわよ。






人は本当に死ぬ。












生まれ変わりの記憶はあれど
死んだときの記憶はない。



そしてまだ、
今世一度も死んだことのない私。
死ぬということは
想像の域を出ない。























子どもが2歳になったばかりの頃
目の奥に激痛が走った。



声が出せない。
うずくまる。



7年前から経過観察していた
脳動脈瘤。



いよいよきたかと病院に向かう。













7年で7倍に膨れ上がった
脳動脈瘤は今にも破裂しそうで
すぐに手術が決まる。



開頭手術。



えーーーー
坊主にするのかしら・・・。
いやだわぁ。



その程度の感想しか持てないまま
次々と説明を受けていく。














手術をしなかった場合
高確率でクモ膜下出血。



クモ膜下出血は、
起きるとその半数は即死。



でも手術をしたからといって
絶対に命の保証があるわけではなく
手術をしたことが原因で
死ぬ場合もある。
半身不随になったり
視力を失うこともある。



なんだその恐ろしい話は。



進むも地獄、退くも地獄。
なんだその選択肢は。



と、一瞬笑うも
次の瞬間
「手術します」と答えていた。
















その後も淡々と説明を聞く私。



こうなった場合の生存率は?
後遺症の治療は?
リハビリはどこで受けられるのか?
その症例はあるのか?



思いつくままに聞いていく。



聞きたいことを全て聞き終わり
他に質問はありますか?と聞かれ
「ありません」と答えると
「では私から質問してもいいですか」と
医師が言う。














なぜそんなに落ち着いて
聞いていられるのですか?

通常みなさんパニックになられます。
冷静でいられません。
ずっと覚悟があったのですか?












何の覚悟だ?
手術を受ける覚悟?
それとも死に直面する覚悟?



よく分からんな…と思いながら
「そうですね^^」と答え
診察室を出た。


























手術2日前から入院。



友達が心配してお見舞いに来る。



彼女は私がピンチだと
どこにいても駆けつけてくれる。



私が泣いていると
東京から名古屋まで
約束もせずに来る。



会えなかったら
帰ればいいだけだから
とにかく来た。大丈夫?



そんな友達が今度は病室にいる。



私の人生は幸福なのだ。























手術前夜
一人病室で夕食を待っているとき
突然恐怖が襲ってきた。



これまでに感じたことのない恐怖。



母が死んだときに感じたものとは違う。


















あれ?

もしかして死ぬ?

もしかしたらここで終わる?

人生おしまい?















人間はいつか死ぬ。
そんなことは分かっている。
いや、分かっていなかった。



え?
子どもはどうなるの?



真っ先に考えたのが子どもだった。



せめて15までは育てたい。
そこから先はきっと
自分で何とかできるはず。
私の子どもなら大丈夫。
でもまだ2歳では…。




















終わるって何?
もうないってこと?
終わるって何。
私はここでおしまい?



恐ろしくて恐ろしくて
自然と涙が溢れていた。



一人病室で死の恐怖と
向き合ったあの時間は
言葉では言い表せない。



何もつかめない
つかむものが欲しい
ロープでも柵でもなんでもいい
何か実態あるものをつかみたい。
でもつかめない。
何もない。
そんな感覚だった。



















病室に差し込む夕日。



配膳のお兄さんが入ってきた。



夕食です。
お茶入れますね。



泣いている顔を隠そうともせず
無言で頭を下げた。

































人は必ず死ぬ。



でも死んだことのない私たちは
そんなこと「本当は」知らない。



どうやら人は死ぬらしい。












死と向き合った経験があっても
普段それを意識しているかと言えば
そんなことはない。



無為に過ごすことも
グズグズすることもある。



人に優しくできないことも
人を傷つけることもある。
自分を優先できないことも
自分を悲しませることもある。















でも私は常に進むことにしている。


人生は必ず良い方向に向かう。



人生は選択の連続。
進み続ければ必ず良い方向に向かう。











進むも地獄、退くも地獄。



そんなときも迷わず進む。



進みさえすれば必ず道はある。



進むから道が見える。

















悩めるとき
迷えるとき



まだまだ余裕なのだ。



本当に余裕がないとき
人は迷わない。
迷えない。



余裕があるんだから
迷っていられるんだから
だからそんな時は
自分の好きを選ぶ。

いや、初めから迷わずに好きを選ぶ。

迷ったって結局最後は
自分の好きを選ぶのだから。



損得で考えるのをやめて
そもそも人が考えられる範囲の
損得なんて本当にどうでもいいこと。
人生に何の影響もない。
そんなものはさっさとやめて



好きなことを好きと言い
好きな人に好きと言い
大切なものを大切にして
人生を楽しむ。



生きているうちは
それ以外にすることがない。















余裕があるんだから
何したっていい。
やりたいことをする。
どんどん進む。
分かったふりをしない。
自分で見たこと体験したこと以外は
私の知らないこと。
私たちは何も分かっちゃいない。
他人の言葉で自分を語ってはいけない。
それをしているうちは
人生は絶対につまらない。
















人生はチョロい。

死ぬまで進めばいいだけ。

人生は簡単。

好きなことしたらいいだけ。

人生は余裕。

まだあなたは生きている。









生きるは、知る。

生きるは、体感。

生きるは、経験。

生きるは。その連続。











進め。行け。泣くな。
本当は余裕なくせに。

知ってるわよ。























でしょ?


















今日もよい一日を。

ごきげんよう。







須王フローラ

















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