【連載】帰っておいで(2)

女性に名前をつけましょう。





愛さんとします。














愛さんと私は向かい合って座り、食事をしました。

依頼人であるご家族も同席してくださいます。

愛さんと私は今日が初対面です。








愛さんは、幻聴、妄想があると言いました。

一時期は枯れるほど体が弱り、ベッドから動くこともできず、アイコンタクトもできず、眠れず、食べられず、瀕死の状態だったそうです。
突然聞こえる声に体が支配されてしまう、決まった場所に吸い寄せられるように向かって何時間もその場で動けなくなってしまうと。








そうして話を聞きながらも愛さんの体の中を探っていきます。
だいたいこういう憑依系は捕まえようとすると逃げるんですが、今回のモノは逃げないんです。でも抵抗はする。

不思議だなぁと思っていると最初から感じていた、人間なのか動物なのか分からないオスの正体が分かったんです。



















それは、犬でした。

人間の男も感じますが、犬の方が強い。

シェパードのような、、、茶色の毛があって、、、大型犬です。






その後ペットを飼っていたとのことで写真を見せてもらいました。

写っていたのは小型の可愛らしい犬でした。

元気いっぱいで勇敢で愛されていたのがわかる、そんな犬でした。

でも愛さんの体調が悪くなったのと同時期に亡くなってしまったと。







愛さんの後ろに視える犬ではありません。

でも、この犬も確かに近くに存在します。






私は動物とも話しますが、実は犬ってあまり話せない。

猫はよく話しますが、犬はいつも楽しそうにしているだけで会話にならないんです。







でもこの犬は違った。

目が合った瞬間、堰を切ったように犬の想念が流れ込んできました。

涙が止まらなかった。

自分が守るから、絶対に自分がコレを連れて行くからだから愛さんを助けてくださいと言うんです。

自分が全部持って行くから、そのためにずっと残っていたからと私に言います。

彼の飼い主を思う気持ちに、勝手に涙が出ていました。









愛さん自身もずっとこの愛犬の存在に気付いてたそうです。近くにいてくれると分かっていました。














私が除霊すればあとはこの犬が持って行ってくれる。

段取りは組めた。でも、まだこれだけでは情報が足りません。

愛さんについたモノは一体どこから来たのか、私がケアをする対象は愛さんだけでいいのか、1つずつ確認していくことにしました。




愛犬にとって最後の大勝負です。














続く