【連載】帰っておいで(3)
食事を終え、私たちは愛さんとご家族が泊まるホテルの一室に向かいました。
お茶を淹れてもらい、雑談をしながら準備をします。
霊能者によっては色々道具を使うようですが、私は使ったことがありません。
普段は素手です。
でも、この日は前日に借りた熱田神宮のご神気とご神器を使うのが良いと判断したので、道具をいくつか並べてお線香を炊きました。
お線香の香りが立ち込める中、少しずつ経緯を視ていきます。
今回の案件は「土地」と「動物」と「人」の3つが絡んでいました。
愛さんも愛さんのお父さんも霊感のある人です。
その2人ともが自宅にいると調子が悪くなると言います。
霊視をするとすぐにランドリーが視えました。
でも愛さんが吸い寄せられて動けなくなる場所はトイレです。
そこで自宅の間取り図を書いてもらうことにしました。
一階のトイレ、バスルーム、ベッドルーム、キッチン、ランドリーと描いてもらいますが、トイレとランドリーは家の西と東に位置します。
おかしいな。近くにあるはずなんだけどな。
そう思いながら二階の間取りを描いてもらうと、二階のランドリーは一階のトイレと同じく西側にありました。
やっぱり。
続けて霊視をしていくと、一階二階の西側数メートルの幅全体を貫くように目には見えない道が通っています。
いわゆる霊道です。
入り口は道路に面したランドリー側、出口は庭に面したトイレ側にあります。
ここおかしいですね。と言うとご家族が、ちょうどその幅分だけ増築したところだと言います。
この家は以前別の方が住んでおり、その方が増築したと。
そしてご主人もその範囲から嫌なエネルギーを感じると言って、浄化するために色々な方法を試してきていたそうです。でもここはまだ浄化されていません。
なぜここを増築したのか分かりますか?と聞くと、分からないと。
でもここ、多分、何か埋まっているんですね。
さらにちょうどここに通る霊道。
全ての霊道が悪いものではありませんし、私の自宅にも以前通っていました。
かつては霊道の脇にお店を構えると商売が繁盛すると言われ、陰陽師たちに依頼して探していた時代もあったんです。
でも、今回のは良くない。
霊道は自然発生的なものなので避けることはできません。
土地に埋められた何かと霊道。たまたま良くない偶然が重なってしまったようです。
そこでまず、この家全体の気を熱田神宮のご神気を借りて浄化しました。
そしてその後、私が作る塩で増築部分を浄化してもらうことにしました。
自宅はすぐに行ける距離ではないので、後日伺って全部の掃除を済ませることにして、次は愛さん自身を視てくことにします。
続く